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カードランとは?

カードランは微生物によって生産される発酵多糖類です。1966年に当時の大阪大学教授の原田篤也 博士によって発見され、加熱すると固まる性質(curdle)からカードランと命名されました。

カードランの分子構造

カードランはD-グルコースがC1位とC3位で-グルコシド結合した非イオン性の直鎖状の多糖類(-1,3グルカン)で、次のような分子構造で示されます。

カードランの分子構造

カードランの「特長」は?

カードランの溶解性

カードランは水には溶解しませんが、冷水には容易に分散し、高速攪拌後の処理により均質な分散液になります。また、水酸化ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム等のアルカリ性水溶液(pH12以上)には完全に溶解します。

「カードラン製剤CD−15P」(カードラン水溶液製品)の概要

本質:
食品添加物カードラン製剤
性状:
無〜淡黄色のほとんど澄明な液体
組成:
カードラン  1.5%
リン酸三カリウム  0.5%
食品素材  98%

カードランのゲル形成性

カードランゲルの種類

カードランの水分散液を加熱すると約50℃で膨潤して粘度が上昇し、さらに加熱するとゲルを形成します。カードランのゲルには熱可逆性のローセットゲルと熱不可逆性のハイセットゲルの2つのタイプがあります。ローセットゲルはカードランの水分散液を約55℃から65℃に加熱して常温以下に冷却したときに形成される熱可逆性ゲルで、再び約60℃に加熱すると元の分散状態に戻り、そのまま加熱を続けて約80℃以上になると熱不可逆性のハイセットゲルになります。ハイセットゲルはカードランの水分散液を約80℃以上に加熱したときに形成される熱不可逆性のゲルで、温度変化に対して極めて安定です。レトルトのような高温や冷凍などの厳しい温度条件を経てもゲルがほとんど変化しないのが特徴です。

ローセットゲル

カードラン水分散液を約55℃から65℃に加熱した後、約40℃以下にすると熱可逆性のローセットゲルが形成されます。このゲルは、約60℃に再加熱すると元の分散状態に戻ります。
ローセットゲルを約80℃以上に加熱すると熱不可逆のハイセットゲルが形成されます。
ローセットゲルを攪拌して崩した場合、再加熱することによってローセットゲルやハイセットゲルが再形成されます。
同じカードラン濃度ではローセットゲルの方がハイセットゲルよりもゲル強度が低くなります。

ハイセットゲル

カードランの水分散液を約80℃以上に加熱すると熱不可逆性のしっかりしたゲルが形成されます。ハイセットゲルを一度崩すと元には戻りません。通常の加工食品では、ほとんどの場合、カードランはハイセットゲルとして利用されます。

加熱温度・濃度とゲル強度

カードランのゲル強度は加熱温度の上昇と共に高くなります。80℃以上で加熱すると熱不可逆性ゲルが形成され130℃付近まで加熱するにつれてゲル強度は上昇し続けます。
また、ゲル強度はカードラン濃度にほぼ比例して上昇します。
加熱温度のゲル強度への影響(3%,10分.)
加熱温度のゲル強度への影響(3%,10分.)

カードランの溶解性

カードランを実際の食品に利用する場合、大きく分けて二通りの使い方があります。

  • 品質改良剤としての用途:通常の食品にカードランをそのままあるいは分散液を加え、品質を改良する。
  • ゲルを直接利用する用途:カードランのゲルをベースにした全く新しい食品を作る。

品質改良剤としての利用

カードランは食感改善、保水性、熱安定性向上のために粉末、分散液、 膨潤・溶解液の状態で添加します。この利用方法では特別な技術は不要で、通常の加工食品工場での応用も簡単です。他の原料と一緒にカードランを添加するだ けです。カードランは加熱によって約100倍の水分を吸収しますので少量でも実に効果的で、カードラン添加量は通常1%以下です。

カードランゲルの直接利用

カードランゲルで食品そのものを形成する利用法です。熱不可逆性のカードランゲルを他の食品素材等と併用することにより、今までになかったユニークで新しい食品を創ることができます。
この使い方は比較的高濃度でカードランを利用し、後述のように均一なカードラン分散液の調製が必要になります

カードランの水分散液の調製方法

高速攪拌法(低粘度化法)
室温で比較的低濃度のカードラン水分散液を調製するには高速攪拌機での攪拌(約3600rpm/60Hz 3000rpm/50Hz)が必要です。工場生産ではカッターミキサー、実験室規模ではジューサーやフードミキサーが使用されます。
高速攪拌機を使ったカードラン分散方法
攪拌中は分散液が40℃以上にならないよう注意が必要です。攪拌中に温度が上昇するとゲル強度が低下します。激しい攪拌で空気が混ざる場合、しっかりしたゲルを得るためには、脱気することが必要です。
高粘度化法
分散液にある程度粘度が必要な場合、あるいは起泡や成形が必要な場合
に有効で、豆腐麺、加工豆腐、ゼリー類、ベジタリアン食品に利用されます。特にこの方法は成型時に高粘度が必要で、かつ水分含量が高い水産練り製品において有効です。室温でカードランを常温の水に分散させてから、ゆっくり攪拌しながら50℃になるまで熱水を徐々に加えます。粘度が急増してきた時点で、氷を加えながら35℃まで急冷します。50℃付近で長時間保持するとゲル強度が低下する原因になります。
高粘度化法によるカードラン分散液の調製
熱水と氷で温度調節するかわりにジャケット付きミキサーで所定の温度に調節することもできます。
注意点
カードランを直接50℃以上の温水に添加すると急速に膨潤してダマになりますので、室温の水に分散させてから加熱する必要があります。
アルカリ膨潤/溶解法
カードランをアルカリに膨潤又は溶解させると、温水に膨潤させたときと似た高粘性液を作ることができます。
この方法では温水、熱水は不要で水産練り製品や麺類に利用できます。またゲルを直接利用する場合を除いて高速攪拌をしなくて済みます。水酸化ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三ナトリウム等のアルカリが使用可能です。
カードランのアルカリ溶液の調製
注意点
カードランを直接アルカリに添加すると急速に膨潤してダマになりますので、予めカードランを水に分散させてからアルカリを添加してください。
+

カードランのβ-1,3グルカン含量

カードランの構成成分(分析値例)は次のとおりで、約90%のβ-1,3グルカンが含まれます。
構成成分 分析値例 備 考
  (100g当り)  
水分 5.6g  
たん白質 1.2g N × 6.25
脂質 0.0g  
炭水化物 91.7g  
灰分 1.5g  
ナトリウム 600mg  
-1,3グルカン 89.6g  

カードランの「標準使用量」は?

品質改良目的の場合は、食品に対して0.1〜2%程度を使用します。

品質改良剤としての用途の場合

利用例 カ−ドラン添加効果 標準使用量
麺類
(中華麺、うどん、即席中華麺、和そばなど)
・弾力の付与、こしの増強
・ゆでのび抑制
・茹で汁の濁り抑制
・ゆで麺のほぐれ改善
小麦粉に対し0.1〜1%
水産練り製品
(かまぼこ、ちくわ、揚げかまぼこ、無澱粉かまぼこなど)
・弾力の増強
・食感改善
・煮崩れ抑制
・すり身の代替
・歩留まり向上
すり身に対し0.1〜1%
食肉加工品
(ハム、ソーセージなど)
・保水、結着性向上
・食感改善
・ソーセージのエマルジョン安定化
0.1〜1%
惣菜類
(ハンバーグ、鶏唐揚げ、ぎょうざ、
シュウマイ、クリームコロッケ、中華まんじゅうなど)
・歩留まり向上
・食感改善
・保水性向上
・対象食品によって多彩な改良効果
・大豆蛋白素材の臭いのマスキング
0.2〜2%
たれ ・糸引き性のない増粘効果
・離水防止
・歩留まり向上
0.2〜2%
缶・瓶詰加工品 ・ドリップ防止
・歩留まり向上
0.2〜1%
その他 ・もちの煮崩れ抑制
・スポンジケーキの冷蔵、冷凍時の保水性向上
・フライ食品の吸油抑制効果
・脂肪代替素材として食品
(ドレッシング、ソーセージ、ケーキなど)の低脂肪化
0.2〜1%

ゲルを直接利用する場合

利用例 カードランのゲルを使うことによる効果 標準使用量
食肉、水産模造品
(鯨ベーコン、おばゆき、カニ風食品、ベジタリアンソーセージ、あわび風食品など)
・様々な素材の食感を再現可能
・耐熱性、耐冷凍性
・卵白や大豆蛋白の代替
3〜10%
加工豆腐 ・耐熱性、耐冷凍性
・食感改良
・成形性の改善
0.5〜5%
脂肪代替ゲル ・食品(総菜、畜肉加工品)の低脂肪化 2〜4%
その他
(ゼリー類、豆腐麺・卵豆腐・牛乳麺、糸こんにゃく様食品、ゼリー寄せ(煮こごり風)、調味シート状・棒状食品、食用フィルムなど)
・耐熱性、耐冷凍性
・成形性の改善
・ホットゼリー:温めて供することが可能
・スターチゼリー:澱粉との併用で得られる新しい食感
1〜10%

カードランの「製造法」は?

カードランは、発酵法により製造されます。

カードランを食品に使用した場合の「表示方法」は?

一般食品に使用した場合の添加物表示例

ゲル化剤目的 :ゲル化剤※(カードラン)またはゲル化剤※(ブドウ糖多糖)
安定剤目的  :安定剤※(カードラン)または安定剤※(ブドウ糖多糖)
増粘剤目的  :増粘剤※(カードラン)または増粘剤※(ブドウ糖多糖)

※糊料でも可

カードランの「包装」は?

10kg(1kg×10)と10kgの2種類です。
製品情報

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